④野生生物の保護と適正管理

【目標】野生動植物の種の保存を図るとともに、特定の鳥獣の著しい増加や生態系等への影響を及ぼす外来種の侵入を防ぎ、生物多様性を保持します。人と野生動物とが適切に共存できる環境を目指します。

■現状と課題

 本県の豊かな自然環境は、本県固有の地形と人々の営みから生み出された独特な生態系からなっています。県民がその豊かさを実感しながら未来に引き継いでいくためには、生態系のバランスを崩さないように努めていく必要があります。

 県では、野生生物の実態を把握し、その保全を広く県民に呼びかけるために、絶滅のおそれがある野生生物をリスト化した上で、千葉県レッドデータブックとして公表しています。

 現在、公表しているレッドデータブックでは、消息不明・絶滅生物と最重要保護生物を、動物ではそれぞれ78種と248種、植物では92種と233種記載しており、その種類数はリストを見直す度に増加しています。

 野生生物の絶滅や個体数減少の原因としては、湿地の埋立て・水質悪化、生育地周辺の森林伐採、里山の荒廃などの環境の変化や、外来生物や特定の鳥獣の著しい増加による生態系への影響が考えられますが、さらに、もともと希少な種であることから、盗掘・密猟も無視できない影響を及ぼしています。

 一方、捕獲の担い手の減少や耕作地の放棄、飼育していた動物の放棄などにより生じた、外来生物や有害鳥獣の増加は、生態系への影響ばかりでなく、農業や生活にも問題を生じさせています。

 本県においては、人間によって持ち込まれたアカゲザル、カミツキガメ、キョンなどの外来生物による、生態系や農林業等への被害が著しいことから、個別の防除計画を作成し捕獲対策を講じていますが、これらの生物は繁殖力が強く駆除対策が追いついていない状況です。

 本県における平成28年度の有害鳥獣による農作物の被害金額は約4億6,500万円であり、なかでもイノシシによる被害金額は約2億5,800万円と鳥獣全体の被害の約半数を占めており、ここ10年で約1億円から2億5,800万円へ激増しています。

 鳥獣被害の発生原因は、「鳥獣の生息域の拡大」、「捕獲の担い手の減少」、「耕作放棄地の増加」など、複数の要因が関連していると考えられており、農作物被害以外にも、道路の法面を崩すなどの生活被害の発生や森林の下層植生などの生態系への影響も懸念されることから、早急に対策を強化する必要があります。

■取組の基本方向

 ミヤコタナゴ、シャープゲンゴロウモドキ、ヒメコマツなどの絶滅が危惧されている希少な動植物の保護・増殖に取り組むとともに、本県の豊かな自然環境と生物多様性の重要性について理解の促進を図るため、普及啓発に努めます。

 また、アカゲザル、カミツキガメ、キョンなど、生態系へ悪影響を及ぼし、県民生活や農林業等に被害を与える特定外来生物については、根絶に向けて、集中的な防除に取り組みます。

 さらに、農林業等に甚大な被害を及ぼし、生活被害や生態系への悪影響をもたらす、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルなどの有害鳥獣については、適正管理に必要な生息状況調査や市町村等への支援等に取り組み、生息数を適正な水準まで減少させます。

■主な取組

1 生態系の保全と希少な野生生物の保護・回復

 希少な野生生物の実態をレッドデータブックとして取りまとめ、このデータを活用し、県民、事業者等に広く希少野生生物の保護に対する理解と配慮を求めます。

 また、特に絶滅が危惧されている、ミヤコタナゴ、シャープゲンゴロウモドキ、ヒメコマツなどの希少な動植物について、生息地の維持管理や保護・回復に取り組みます。

 さらに、「生命(いのち)のにぎわい調査団」や生物多様性センターニュースレターなどの取組により、本県の豊かな自然環境や生物多様性の重要性、外来生物の放棄の問題などについての普及啓発に努めるとともに、東京湾最奥の浅海域である三番瀬等、貴重な野生生物の生息環境の保全に努めます。

・生物多様性と生態系の保全の推進

・絶滅のおそれのある希少な野生生物の保護・回復

・生態系保全に関する普及啓発

・ラムサール条約への登録促進

 

シャープゲンゴロウモドキ
ヒメコマツ
ミヤコタナゴ

 

2 特定外来生物の早期防除

 特定外来生物のうち、防除の緊急性が高く、特に生態系への影響等が懸念されるアカゲザル、カミツキガメ、キョンなどについては、より効率的な捕獲方法を確立するため詳細な生態調査を実施します。また、生物種の生態や特性に応じて、県や市町村が集中的な駆除に取り組み、根絶に向けて、個体数の大幅な減少を目指します。

・生息状況調査等の実施

・県による特定外来生物の防除

・市町村による防除の取組への支援

 

アカゲザル
カミツキガメ
キョン
アライグマ

 

3 有害鳥獣対策の強化

 「第12次千葉県鳥獣保護管理事業計画」に基づき、農林業等に甚大な被害を及ぼし、生活被害や生態系への悪影響をもたらしている有害鳥獣の適切な管理を行います。有害鳥獣対策については、関係機関の連携が重要であることから、防護、捕獲、資源活用、生息環境管理の4つのプロジェクトを、千葉県野生鳥獣対策本部を中心に、関係機関が連携して総合的に取り組みます。

 捕獲については、特に対策が必要なイノシシ、ニホンジカ及びニホンザルの生息状況調査や、イノシシ及びニホンジカを対象とした指定管理鳥獣捕獲等事業を実施するとともに、市町村等が実施する捕獲活動への財政的・技術的支援や情報提供などを行い、生息数を適正な水準に向けて減少させ、生息域の拡大を防止します。

 また、捕獲の担い手となる人材を確保・育成するため、狩猟免許の新規取得者の増加を目的とする「新人ハンター入門セミナー」の開催や狩猟者の捕獲技術の向上を図るための研修等を実施します。

・生息状況調査の実施

・県による捕獲の実施

・市町村による防除・捕獲への支援

・鳥獣捕獲の担い手の確保・育成

・防護・捕獲・生息環境管理対策の推進(再掲)

・房総ジビエなど有害鳥獣の有効利用推進(再掲)

イノシシ
ニホンジカ

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