【目標】本県の豊かな自然環境を保全し、自然との共生を図ります。
良好な大気環境や、騒音の少ないくらしの確保を図ります。
河川・湖沼・海域などの水環境や、土壌・地下水などの地質環境を保全します。
■現状と課題
本県は、緑豊かな房総丘陵、九十九里浜をはじめとした美しい海岸線、東京湾に残された貴重な干潟、様々な動植物が生息・生育する里山・里海など豊かで多様な自然に恵まれ、生活の基盤として、また憩いの場として、県民のみならず、本県を訪れる多くの人に潤いと豊かさを与えている一方、首都圏に位置し、経済活動も活発に行われています。
本県の大気・水環境は、改善傾向にあるものの、光化学スモッグ注意報の過去10年間の平均発令回数は、10.9日と依然多い状況にあり、平成27年度の水質の環境基準達成率も74.1%と全国の91.1%を下回っています。また、地盤沈下については、全体的には沈静化の傾向にあるものの、九十九里地域など一部の地域においてはいまだ沈下が継続しています。
さらに、成田空港や東京国際空港(以下「羽田空港」という。)等に発着する航空機の騒音も問題となっています。
これらの課題を解決し、豊かで美しい千葉の自然をしっかりと子どもたちに引き継いでいくためには、県民一人ひとりが環境の大切さを認識し、県民、行政、企業など様々な主体が、事業活動や日常生活などによる環境への負荷をできるだけ減少させていくとともに、自然との共生に向けて、連携して取り組む必要があります。
■取組の基本方向
県民のかけがえのない財産である自然公園などを保全するとともに、県内外の人たちが豊かな自然とふれ合えるための取組を進めます。
さらに、良好な大気・水環境を保全するため、継続した監視を行い、環境を汚染する物質の排出者に対する指導や排出量を削減するための取組を推進するとともに、地盤沈下を防止するため、地下水及び天然ガスかん水の採取を抑制する取組を推進します。
また、騒音の少ないくらしを確保するため、自動車騒音の継続した監視を行うとともに、航空機騒音については固定測定局での常時監視を実施し、騒音軽減のための取組を推進します。

■主な取組
1 豊かな自然環境の保全と快適な利用促進
美しい景観を有する自然公園や、優れた自然林・希少な野生動植物が生息・生育している自然環境保全地域などの保全に取り組みます。
また、県内外の多くの人が、豊かな自然に安全かつ快適に親しみ、自然への理解を深められるよう、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催も契機のひとつとして、自然公園施設や自然歩道の整備などを推進し、自然公園等の快適な利用を促進します。
・国定公園・県立自然公園・自然環境保全地域などの保全
・国定公園・県立自然公園内の自然公園施設の整備
・首都圏自然歩道の整備
2 良好な大気環境の確保
光化学スモッグやPM2.5などの大気環境を常時監視し、大気汚染の情報を県民に迅速に知らせるとともに、環境基準の達成に向け、大気汚染物質の排出を抑制するため、事業者に対する指導を実施します。
また、大気汚染物質に関する発生源対策の検討を進めるとともに、自動車による大気汚染物質の排出を削減するため、ディーゼル車の運行規制などの排出ガス対策やエコカー・エコドライブなどの普及を促進します。
・光化学スモッグの低減対策の推進
・大気汚染発生源対策の推進
・PM2.5の監視体制の整備
・自動車排出ガス対策の推進
・次世代自動車等の導入とエコドライブの推進(再掲)
・アスベスト対策の推進
・化学物質総合対策の推進

3 騒音の少ないくらしの確保
成田空港、羽田空港、下総飛行場周辺地域での騒音を監視し、必要に応じて関係機関に航空機騒音の低減対策を要請します。このうち、羽田空港については、再拡張後の県内への騒音影響を踏まえ、関係25市町と連携し、国に対して騒音の軽減を求めていきます。
また、道路沿道における自動車騒音の監視を行います。
あわせて、騒音・振動・悪臭対策として、市町村への技術的支援等を行います。
・航空機騒音対策の推進
・自動車騒音の常時監視
・騒音・振動・悪臭対策の推進

4 良好な水環境・地質環境の保全
河川・湖沼・海域など公共用水域の監視や工場・事業場への立入検査を行い、事業者に対する指導を実施します。特に、閉鎖性水域である東京湾・印旛沼・手賀沼の水質を改善するため、生活排水や工場・事業場排水の汚濁物質の削減を進めるとともに、雨水によって市街地や畑地などから流出する汚濁物質の削減に取り組みます。
また、地下水の監視、事業者に対する地下水汚染未然防止対策の指導、汚染された地下水の浄化に取り組むとともに、土壌汚染対策を推進します。
地盤沈下については、地盤変動状況の監視と地下水及び天然ガスかん水の揚水規制等を実施します。
さらに、県の流域下水道終末処理場における処理方法の高度化を推進します。
・河川・湖沼・海域の水質監視
・工場・事業場排水の水質規制
・生活排水対策の推進
・東京湾・印旛沼・手賀沼の浄化対策の推進
・地下水の水質監視、汚染未然防止対策及び浄化対策の推進
・土壌汚染対策の適切な指導
・地盤変動状況の監視と地下水・天然ガスかん水の揚水規制等
・下水の高度処理化の推進

5 多様な環境問題に関する調査・研究及び環境情報の提供
人の健康に大きな影響を及ぼすおそれのある微小粒子状物質や化学物質、ヒートアイランド現象などの環境問題や、東日本大震災によって発生した液状化問題、環境放射能問題に適切かつ迅速に対応するためには、様々な調査・研究を推進することが重要となります。
これまでに環境研究センターや関係機関などが行った環境対策や自然環境を保全するための調査・研究の成果や情報を、わかりやすい形で提供し、県民の環境や自然に対する理解を深めます。
また、三番瀬を再生・保全するためには、県民の理解と協力が必要であるため、県民の理解を深めるための情報を提供します。
・PM2.5等に関する調査研究の実施
・ヒートアイランド現象に関する調査研究の実施
・液状化‐流動化現象の調査研究の実施(再掲)
・大気中の空間放射線量率や公共用水域の水・底質等の放射能調査の実施
・環境講座の開催及び環境研究センター・環境だよりの発行
・小・中学校及び地域での研修会への講師派遣
・三番瀬再生・保全のための広報活動