①産地の戦略的な競争力強化と高収益型農林水産業への転換

【目標】力強い農林水産業の確立により、「農林水産王国・千葉」の復活を目指します。

農林漁業者の所得向上を図ります。

■現状と課題

 本県農林水産業を取り巻く環境は、国内外の産地間競争の激化、消費形態の変化、地球温暖化、生産者の減少と高齢化の進展など、急激かつ大きく変化しており、さらに、農地の減少や新たな耕作放棄地の発生、鳥獣被害の増加、森林の荒廃、水産資源の減少など解決しなければならない重要な課題が山積しております。

 一方、アジア諸国を中心として新興国の経済成長が進む中、高品質な農林水産物の消費が増加しており、人気の高い日本食や日本産農林水産物の輸出機会が拡大しています。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催による国内外から本県への観光客の増加やICT等の新技術の登場などが農林水産業への追い風となることも期待されます。

 本県農林水産業が今後とも発展していくためには、こうした課題に対し、好機を逃さず果敢に立ち向かっていくことが必要です。

 具体的には、産地間連携に併せ、施設や機械などの整備による生産力の強化と生産性の向上を図るとともに、大消費地の首都圏に位置し、日本の空の玄関口となる成田空港を有する優位性を生かした産地づくりや、経営感覚に優れた担い手の確保・育成が重要です。

 また、インバウンド需要を取り込むとともに、農林漁業者が生産だけにとどまらず、自ら加工や販売、農家レストランの運営など、経営の多角化を進める6次産業化の推進などにより農林漁業者の所得向上を図ることが重要です。

 さらに、農林水産物の海外販路の拡大を図るためには、生産者の輸出意欲の喚起と海外での知名度向上を図る必要があります。

 加えて、農業水利施設や漁港など農林水産業の生産力を支えるインフラについては、老朽化が進んでおり、これらの施設の保全対策が急務となっています。

 そして、こうした課題や機会に対応する上では、新しい品種や栽培・加工技術などの積極的な導入の下で、環境にやさしく、安全・安心な生産流通体制を整備することが重要です。

■取組の基本方向

 「農林水産王国・千葉」の復活を目指し、農林漁業者と関係団体の緊密な連携の下、国内外の競争に打ち勝つ力強い産地づくりを進めます。

 そのため、大口かつ均質な農産物が定時定量で供給できる産地間連携、地域ぐるみでの畜産業への支援体制の構築、森林整備の集約化、生産性の高い水産業を推進します。

 また、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として販売力強化と輸出拡大が図られるようGAP等の普及促進や地域ブランド化、6次産業化等による高付加価値化の推進と併せ、千葉県農林水産物の魅力を発信することにより、輸出産地を育成するとともに、生産者の輸出活動を支援します。

 さらに、地域の農林水産業をけん引する意欲ある人材や企業的経営体、集落営農組織などの多様な担い手を確保・育成するとともに、経営規模の拡大に意欲的な担い手への農地集積を推進します。

 また、産地間競争力の強化に向けた農地の大区画化・汎用化や流通拠点漁港の整備などの生産基盤の充実・強化を図るとともに、耕作放棄地を含めて農地を一定規模にまとめた上で、基盤整備等の条件整備を行い、担い手への農地集積を進めます。

 加えて、消費動向の変化や温暖化に対応した新たな技術開発や品種育成に積極的に取り組むとともに、全国的な優良事例を本県農林水産業の産地づくりに取り入れながら、高付加価値型、高収益型の農林水産業への転換を促進します。

 また、次世代に引き継げる持続可能な農林水産業を目指し、環境への負荷軽減や種苗放流等並びに資源の適正な利用などを推進します。

 なお、国際的な経済連携に対する農林水産業の対応については、交渉の動きに注視しながら、適切に対応していきます。

■主な取組

1 国内外の競争に打ち勝つ力強い産地づくり

 国内外の産地間競争に打ち勝つ力強い産地をつくるためには、農林漁業者の経営力を向上させるとともに、効率的な生産体制の構築により体質強化を図るなど、総合的に支援することが必要です。

 園芸農業については、施設化や省力機械等の導入による規模拡大、集出荷貯蔵施設の整備等による流通体制の強化を支援するとともに、公益社団法人千葉県園芸協会を核に「オール千葉」として、農業者、JAグループなどが緊密に連携し、高収益型農業への転換を図ります。

 水田農業については、消費者・実需者ニーズに応じた米作りを進めるとともに、水田の集積、集約化や高性能機械の導入、ICT化などによる生産コストの低減を図ります。

 また、平成29年度を最後に国による米の生産数量目標の配分が廃止されることから、米の需給バランスを維持し、稲作経営の安定を図るため、需要に応じた主食用米、飼料用米等の転作作物の生産により、水田をフル活用した力強い水田農業経営の確立を目指します。

 さらに、稲、麦、大豆の種子生産を都道府県に義務付ける主要農作物種子法が廃止となる平成30年度以降も、優良な種子の安定供給に努めます。

 畜産業については、地域ぐるみの支援体制である畜産クラスターを活用し、省力化や規模拡大を進め、収益力の向上を目指します。

 また、畜産経営の安定を図るため、能力の高い家畜の導入や飼養技術の改善などに取り組むとともに、自給飼料の生産の拡大を推進します。

 林業については、小規模な民有林の整備をまとまった形で可能とする森林経営計画の策定と、高性能林業機械の導入や作業道などの路網整備による低コスト化により森林整備を推進します。また、公益的機能の発揮が求められながら、自然的・社会的条件が不利であることで、森林経営計画による管理が困難な森林については、森林現場や所有者に最も近い市町村と連携した新たな森林整備の取組を推進します。

 水産業では、より高鮮度な水産物の流通体制を実現するため、高度衛生管理市場の整備を進めるとともに、漁業者の所得向上や地域の活性化を目指して漁協等が策定した「浜の活力再生プラン」等に基づき、漁船等の更新や省力化・低コスト化につながる機器導入・共同利用施設の整備を進めます。さらに、漁業操業の安全確保や効率化に資するよう漁業調査船等を活用しながら、海洋環境や漁場形成予測等の情報提供に取り組みます。

 産地間競争の前提となる安全・安心を確保しつつ、経営体質の強化や、2020年東京オリンピック・パラリンピックの農林水産物調達基準に対応するため、「GLOBALG.A.P.」、「JGAP Advance」等の第三者認証の取得を支援します。また、農産物については、「国のガイドライン」に準拠した「千葉県版GAP」の推進を図ります。

・「オール千葉」体制による園芸農業の生産力強化と販路拡大

・力強い水田農業経営の確立と畑作経営の効率化

・家畜の生産性向上・飼料自給力の強化と経営安定対策の推進

・森林整備の集約化・低コスト化の推進

・漁業生産の安定化・効率化の推進

・農業生産工程管理(GAP)の推進

トマトの高度環境制御施設
プレミアム夏ねぎ
高度衛生管理市場(銚子市漁協地方卸売市場)
高性能林業機械による森林整備
高い生産性と作業効率を目指した酪農経営
(フリーストール牛舎)
大規模な稲作経営に対応した穀物乾燥調製施設の整備

2 県産農林水産物の販売促進と戦略的な輸出拡大

 高収益型農林水産業への転換のためには、近年の外国人観光客の増加や2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、本県農林水産物の魅力を多くの人に伝え、大会終了後も消費が継続するよう販売促進することも必要です。

 千葉の旬の農林水産物を効果的にPRするため、県内及び首都圏で、スーパーマーケットや生産者団体等と連携したフェアを開催するとともに、県産農林水産物の魅力を発信することにより、イメージアップと消費拡大を図ります。

 また、チバザビーフ・チバザポークなどのブランド力向上や地域特性を生かした商品づくりを支援する千葉ブランド水産物の推進や低・未利用魚の加工品の開発など、水産物の高付加価値化に取り組みます。

 さらに、農林水産物の6次産業化による高付加価値化と高収益化を推進するため、農林漁業者が主体的に取り組む新商品開発や販路の開拓を発展段階に応じて支援します。また、推進に当たっては、専門家派遣や研修などを行う6次産業化サポートセンターの設置や施設・機械の導入支援などにより新たな事業展開を促進し、農林漁業者の所得向上を図ります。

 県産木材については、公共施設や木造住宅、木質バイオマス等への利用拡大と需要に応じた安定的な供給体制の構築を推進します。

 また、海外販路の拡大を図るため、これまでの海外トップセールスの効果を生かして、PR活動や輸出に取り組む生産者・団体への支援を積極的に行います。具体的には国やジェトロ、輸出事業者などと連携しながら、需要の拡大が見込まれる東南アジア地域を中心に、海外での「千葉フェア」や、海外バイヤーを招へいした商談会を開催するとともに、本県の強みがある植木類やサツマイモ、梨、水産物などの輸出促進に加え、新たな品目の輸出にも取り組みます。また、輸出に取り組む生産者団体の掘り起こしや、連携強化を進めるとともに、生産者団体等が行う海外での販売促進活動やマーケット調査、産地と海外市場のマッチングを支援します。さらに、成田空港を活用した農林水産物の輸出拠点化の取組を支援するとともに、千葉港長期構想に基づき輸出拡大に向けた検討を進めます。

・県産農林水産物のプロモーションの実施

・多様な地域資源を生かした商品開発や販路開拓への支援

・6次産業化・農商工連携の推進

・県産木材の利用促進

・海外販路拡大セミナー等の開催(再掲)

・貿易・投資相談の実施(再掲)

・国際展開に係る実務支援の実施(再掲)

・海外に向けたPRと商談機会の創出(再掲)

・輸出に取り組む団体への支援(再掲)

銚子漁港を視察するベトナムのバイヤー
千葉ブランド水産物
(外房イセエビ)
全国有数の水揚げのサバ類
うまい牛肉チバザビーフの
ロゴマーク
旨さが多彩チバザポークの
ロゴマーク
県産材を利用した公共建築物(千葉県立安房高等学校剣道場)

3 農林水産業を支える多様な担い手の確保・育成

 学卒者や離職者、定年退職者などの就業を希望する新たな担い手が安心して参入できるよう市町村等と連携し、相談窓口として県内13か所に新規就農相談センターを設け、就業相談や農地確保の支援等を行うとともに、県立農業大学校等での実践的な教育・研修や水産業のインターンシップ等の体験実習など、知識や技術の習得を支援します。

 また、農業次世代人材投資事業等の活用により農業への就業を促進するとともに、認定新規就農者制度の活用や法人への雇用を推進し、新規就業者の増加を目指します。

 就業直後の担い手に対しては、生産販売のための知識・技術の習得やリーダー・経営者としての資質の向上を図るため、セミナーやグループ活動などの各種研修制度の充実強化などにより定着を支援します。

 さらに、発展段階に応じて経営多角化や法人化など果敢にチャレンジする担い手を支援し、アグリトップランナーをはじめとするビジネス感覚あふれる企業的な経営体を育成するとともに、生産性の高い営農が展開できるよう、人・農地プランの策定・見直しと併せ、農地中間管理機構の活動を強化し、担い手への農地集積・集約化を推進します。

 また、ロボット技術やICT等の新技術を活用した農林水産業を推進し、担い手が営農を継続できるよう作業の省力・軽労化を図るとともに、担い手が技術の継承をしやすい体制づくりを支援します。

 さらに、国の動向を注視しながら、外国人技能実習制度の活用について検討します。

 また、集落営農組織や森林組合等の林業事業体、中核的漁業者等の育成・強化や企業等の参入を支援するとともに、女性や高齢者など、多様な担い手が地域で生き生きと活躍できるよう、経営参画への支援や活動のベースとなる組織活動の支援により、加工・直売・体験交流などの取組を支援します。

 加えて、農業や漁業の生産基盤の中心的役割を果たし、地域での生活に欠かすことができない農業協同組合や漁業協同組合等については、地域の特性や地域住民の生活の利便性を考慮しつつ、組織再編を進めるなど、経営基盤の強化を図ります。

・担い手の確保・育成に対する研修制度等の充実・強化

・地域農林水産業をけん引する企業的経営体・法人等の育成

・農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積の促進

・ICT等を活用した生産性の高い農林水産業の推進

・農協及び漁協等の経営の健全化対策

乳牛改良による経営基盤の安定に取り組む酪農家
新規就農者と指導農業士との交流会
(先輩の経営について学ぶ)
ドローンの活用(提供:農林水産省)

4 生産基盤の充実・強化

 米の生産コスト削減や高収益作物への転換に欠かすことができない、農地の大区画化・汎用化や農道、農業水利施設などの整備を進めます。

 漁港については、水産物の安定的な供給や産地間競争力の強化を図るため、銚子漁港や勝浦漁港などを地域の水産物が集積する流通拠点漁港に位置付け、高度衛生管理を推進するなど、重点的な整備を進めます。

 なお、既存施設の維持管理に当たっては、中長期的な事業費の縮減や平準化を図るため、これまでの事後的な補修・更新から予防的な補修・更新へと転換し、機能保全計画などに基づき適切な工事を行うことで、各施設の長寿命化を推進します。

 また、地域の中心経営体等による耕作放棄地の発生防止・再生活動を支援するほか、耕作放棄地を再生し、露地野菜や飼料作物の生産拡大に取り組む農家への支援を行います。さらに、県農地中間管理機構により、耕作放棄地を含めた農地を一定規模にまとめた上で、基盤整備等の条件整備を行い、経営規模の拡大に意欲的な担い手に貸し出すことで、耕作放棄地の解消と発生防止を一体的に進めます。

・用排水施設の整備

・大区画化など基盤整備の推進

・漁港施設の整備推進

・農業水利施設や漁港施設の長寿命化

・耕作放棄地の発生防止及び再生に対する支援

農道の整備状況

ため池百選「小中池」
流通拠点漁港として整備が進む銚子漁港

5 試験研究の充実

 担い手の経営発展を技術的側面から支援し、収益力が高く、やりがいと魅力のある本県農林水産業を実現するため、大規模経営や省力低コスト生産に対応した栽培・生産技術の開発、飼料自給力の向上、水産資源の増大や操業の効率化などに資する試験研究や、消費動向の変化に対応した流通加工技術、品質・衛生技術の向上、新品種の育成など農林水産物の高付加価値化に向けた試験研究に取り組みます。

 また、環境変動など農林水産業を取り巻く生産環境等の変化に対応し、温暖化等の環境変化による農作物や養殖水産物の生育不良や、新たな病害虫への対策、環境負荷の低減、海岸防災林の再生や農林水産資源の持続的利用のための技術開発に取り組みます。

 さらに、経済のグローバル化の進展や産地間競争の激化を見据え、農林水産業を高付加価値型、高収益型へ転換するための先導的機関となるよう試験研究機関の再構築並びに機能強化を図ります。

・生産力を強化するための技術開発

・多様なニーズに対応したブランド化を推進する技術開発

・環境への調和と資源の維持増大に関する技術開発

・効率的な研究体制の再構築と研究施設の再編整備

美味しい水稲品種の育成
落花生の品種育成
イチゴ新品種チーバベリー
サトイモの県育成品種「ちば丸」
環境制御された温室で
育ったたわわなトマト
夏ネギの栽培法の確立
育成中のニホンナシ新系統
オリンピックを目指した夏季高温期出荷に適した花壇苗の選定
遺伝子による病害虫の診断
スギ、ヒノキを枯らしてしまうスギカミキリの防除に関する研究
選抜したスギ品種の成長、材質、病虫害抵抗性を評価
サツマイモの非破壊品質評価
新系統豚「ボウソウL4」
ホールクロップサイレージ用イネの収穫
アワビ放流効果調査
漁業調査船 海洋調査

6 環境や資源に配慮した農林水産業の推進

 本県農業の持続的な発展のため、生産性の向上を図りつつ化学肥料・化学合成農薬を低減する営農活動や自然環境の保全にもつながる営農活動など「環境にやさしい農業」の取組を促進するとともに、農業用廃プラスチックの適正処理や家畜ふんたい肥の利用を推進します。

 また、農薬飛散を防止するため、天候や散布方法等に留意した散布及び農薬飛散防止ネットの設置などの実践を進めます。

 さらに、生産基盤の整備に当たっては、魚道や石積護岸などの環境との調和に配慮した施設の整備を進めます。

 森林が有している地球温暖化防止機能等の様々な公益的機能を発揮させるため、小規模で管理が不十分な森林などの集約化や高性能林業機械の導入などによる低コスト化を推進するとともに、県産木材の利用促進などにより、持続的な森林整備を進めます。

 また、松くい虫の防除対策やスギ非赤枯性溝腐病の被害対策などの実施や、林地開発行為の適正化の促進などにより健全な森林の保全を図ります。

 さらに、水産資源の維持・増大など豊かな海づくりを推進するため、漁業者による休漁や漁具制限など資源管理の取組やアワビ、マダイ、ヒラメ等の種苗放流、生産性の高い漁場整備などを推進するとともに、漁業操業の秩序を維持するため、漁場監視や取締りを行うなど漁業制度の適正な運用を図るとともに、遊漁者等との海面利用調整を行います。

 加えて、東京湾の高水温化や貧酸素水塊の発生など漁場環境の変化に対応した技術開発や漁場改善の取組への支援などによりアサリ漁業やノリ養殖業の生産力の回復を図ります。

・環境にやさしい農業の推進

・農業用廃プラスチックの適正処理の推進

・森林整備の集約化・低コスト化の推進(再掲)

・病害虫防除対策や林地開発の適正化による健全な森林の保全

・水産資源の適切な管理と維持増大

・漁場環境の変化に対応した漁業・養殖業の推進

松くい虫被害林再生状況
資源の維持・増大のためにヒラメの種苗放流を実施

豊かな海づくりの推進

アワビ輪採漁場の例

生産性の高いアワビ漁場の整備
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